FPSをプレイしていると、気づかないうちに操作感の違和感が積み重なっていきます。
プレイ時間が長くなるにつれ、
「指が滑って想定外のキーを押してしまう」
「汗で操作が不安定になる」
こんな悩みを感じたことはありませんか。
さらに、長く使ううちにキートップがテカってくる、印字が消えてしまうといった悩みを抱える人も多いはずです。
実はこれらの悩みは、キーボード本体ではなくキートップの素材や印字方式が原因になっているケースが少なくありません。
FPSでは一瞬の入力ミスが撃ち負けに直結します。そのため、キーの滑りやすさや指の引っかかり具合に加え、長く愛用する上では経年劣化のしやすさまで考慮する必要があります。
筆者はFPS歴10年以上、これまでに複数のFPS向けキーボードやキーキャップを実際に使用し、素材や印字方式による操作感・耐久性の違いを検証してきました。
その経験を踏まえた結論はシンプルです。
FPS用途では、キートップはPBT素材、印字はダブルショットまたは昇華印字を選ぶのがおすすめです。
本記事では、その理由をABS素材との違いやFPS視点での操作感の差、テカリや印字消えが起きる仕組みとあわせて解説します。
キー素材の種類
キーボードのキートップには、いくつかの素材が使われていますが、FPS用途で主に使われているのはABS素材とPBT素材の2種類です。
どちらも見た目は似ていますが、指触りや滑りやすさ、汗への耐性、さらにはテカリといった経年劣化のしやすさまで、実際の使用感には大きな違いがあります。
まずは、それぞれの素材がどんな特徴を持っているのかを整理しておきましょう。
ABS素材とは
ABS素材は、多くのゲーミングキーボードで標準的に採用されているキートップ素材です。
成形しやすくコストが低いため、エントリーモデルからミドルクラスまで幅広く使われています。
一方で、長時間のFPSプレイでは指の皮脂や汗の影響を受けやすく、使い込むほど表面がツルツルとしたテカリが出やすい傾向があります。その結果、キー操作時に滑りを感じやすくなる点には注意が必要です。
PBT素材とは
PBT素材は、ABS素材に比べて硬く、耐摩耗性に優れたキートップ素材です。
近年ではFPS向けとして評価が高く、上位モデルや交換用キーキャップでも多く採用されています。
表面がマットでサラッとした質感を保ちやすく、汗をかいても操作感が変わりにくいのが大きな特徴です。
また、長期間使用してもテカリが出にくく、長時間使用しても操作性を保ちやすい点もFPS用途ではメリットになります。
印字の種類
キートップを選ぶ際、素材と同じくらい重要なのが印字方式です。
見た目は似ていても、印字の方法によって耐久性や印字消えの起こりやすさは大きく異なります。
FPS用途ではキーの視認性が落ちることや、使い込むほど文字が薄くなる状態は避けたいところです。
ここでは、代表的な印字方式を整理しておきましょう。
レーザー刻印
レーザー刻印は、キートップ表面をレーザーで焼いて文字を刻む方式です。コストが低く、多くの量産キーボードで採用されています。
ただし、印字が表面に近いため、長時間の使用や摩擦によって文字が薄くなったり消えたりしやすい傾向があります。FPS用途では耐久面に不安が残ります。
パッド印刷
パッド印刷は、インクを使ってキートップ表面に文字を印刷する方式です。視認性は高いものの、摩耗による印字消えが起こりやすいのが欠点です。
特にWASDや使用頻度の高いキーでは、比較的早い段階で文字が消えてしまうケースもあります。
ダブルショット印字
ダブルショット印字は、文字部分とキートップ本体を別々の樹脂で成形する方式です。印字そのものがキートップの一部になっているため、摩耗しても文字が消えることはほぼありません。
耐久性が非常に高く、長期間使っても視認性を保ちやすいため、FPS用途では最もおすすめできる印字方式のひとつです。
昇華印字
昇華印字は、インクを熱でキートップ内部に染み込ませる方式です。
表面にインクが乗っていないため、摩耗による印字消えが起こりにくいのが特徴です。
特にPBT素材との相性が良く、長く使っても印字が薄くなりにくいため、実用性を重視するFPSプレイヤーに向いています。
結論:素材はPBT、印字はダブルショット(または昇華)
これまで説明したとおり、FPS用途でキートップを選ぶなら、素材はPBT、印字はダブルショットまたは昇華印字。この組み合わせを選んでおけば間違いないでしょう。
PBT素材は、長時間のプレイでも表面がテカりにくく、汗や皮脂の影響を受けにくいため、キー操作の安定感を保ちやすいのが特徴です。
FPSで重要なWASD操作や細かな入力でも、指が滑りにくく、感覚のズレが起こりにくくなります。
また、印字方式については、ダブルショット印字または昇華印字を選ぶことで、使い込んでも印字が消えにくく、長期間にわたって視認性を維持できます。頻繁に使うキーの文字が消えてしまうストレスを避けられる点も、FPS用途では大きなメリットです。
逆に、ABS素材や簡易的な印字方式は、短期間でテカリや印字消えが起こりやすく、操作感の変化につながる可能性があります。
初期状態では問題なく感じても、長く使うほど違和感が出やすい点には注意が必要です。
FPSでの操作安定性と耐久性を重視するなら、PBT素材 × ダブルショット(または昇華印字)という基準をひとつの判断軸として、キーボードやキーキャップを選んでみてください。
救済策:キーキャップは交換できる
ここまで読んで、
「今使っているキーボードはABS素材かもしれない」
「印字方式まで確認していなかった」
と不安に感じた人もいるかもしれません。
ですが、安心してください。多くのメカニカルキーボードは、キーキャップを交換できます。
キーボード本体を買い替えなくても、キーキャップをPBT素材のものに交換するだけで、滑りにくさや指触り、テカリにくさといった操作感は大きく改善します。
FPS用途では、WASD周りだけを交換するのも有効です。
また、キーキャップ交換は難しそうに見えますが、実際には専用のキーキャッププラーを使って引き抜いて差し替えるだけの簡単な作業です。初めての人でも短時間で交換できます。
注意点として、キーボードの配列(英語/日本語)やプロファイル、対応するキーサイズ(特にスペースキーの長さ)は、購入前に確認しておきましょう。
もし、今使っているキーボードに「滑りやすい」「テカリが気になる」「印字が消えてきた」と感じているなら、キーキャップ交換はコストを抑えつつ効果を実感しやすい改善策です。
実際に筆者が「REALFORCE GX1」のキーキャップをPBT素材のものに交換した記事がありますので、良ければ併せてご確認下さい。

まとめ

FPS用途でキーボードを選ぶ際、キートップの素材と印字方式は、操作感や耐久性に直結する重要なポイントです。
特に意識したい点は、次の通りです。
- キートップ素材はPBT
→ テカリにくく、汗をかいても滑りにくい - 印字方式はダブルショットまたは昇華印字
→ 長く使っても印字が消えにくい - ABS素材や簡易印字は
→ 使い込むほど操作感が変化しやすい
FPSでは、一瞬の入力ミスが結果を大きく左右します。
だからこそ、キーボード本体だけでなく、指が直接触れるキートップの質にも目を向けることが大切です。
もし今使っているキーボードに滑りやすさやテカリ、印字消えの不満があるなら、キーキャップをPBT素材のものに交換するだけでも、操作感は大きく改善します。
これからキーボードを選ぶ人も、すでに使っているキーボードを見直したい人も、「素材はPBT、印字はダブルショット(または昇華)」という基準をひとつの判断材料として、自分に合った環境を整えてみてください。


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